お正月を過ぎたころに届く「寒中見舞い」。突然はがきを受け取って、「これ、返事を出した方がいいのかな?」と迷った経験はありませんか?
寒中見舞いは、季節のあいさつや相手の健康を気づかう気持ちを伝えるためのものですが、状況によって対応の仕方が少し変わります。
この記事では、寒中見舞いをもらったときの正しいマナーや返信のタイミング、例文までわかりやすく解説します。これを読めば、どんな相手にも失礼のない返事ができるようになりますよ。
寒中見舞いをもらったらまず確認すべきこと
寒中見舞いを受け取ったら、まずは「誰から・どんな内容で届いたのか」を落ち着いて確認しましょう。相手によって対応の仕方が変わるため、ここを丁寧に見ることがマナーの第一歩です。
慌てて返事を書く前に、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。
寒中見舞いとは?意味と送る時期
寒中見舞いは、1年で最も寒い時期に相手の健康を気づかう季節のあいさつです。年賀状の時期(1月7日ごろ)を過ぎてから、立春(2月4日ごろ)までに送るのが一般的とされています。
喪中の方が新年のあいさつを控える代わりに使うことも多く、「お祝い」ではなく「お見舞い」の気持ちを伝える手紙です。
つまり、寒中見舞いはお正月の延長ではなく、少し落ち着いた気持ちで交わす丁寧なあいさつなのです。
誰から届いたのか・どんな内容なのかをチェック
まず確認したいのは、差出人の名前と文面の内容です。
喪中の方や、年賀状を送れなかった相手から届いた寒中見舞いには、特別な意味が込められていることがあります。たとえば「喪中につき年始のご挨拶を控えさせていただきました」という文面があれば、年賀状を出していない理由を伝えているサインです。
逆に、単に近況報告や健康を気づかう内容なら、季節のあいさつとして受け取り、必要に応じてお返事を検討しましょう。
返事が必要かどうかを判断するポイント
寒中見舞いへの返信は必ずしも義務ではありませんが、相手との関係性によっては返すことで印象が良くなります。
たとえば、年賀状を出せなかった相手やお世話になった方には、お礼や近況を添えて返すのが丁寧です。一方で、喪中の知らせを兼ねた寒中見舞いの場合は、無理に返事を出さず、落ち着いたころにお見舞いの言葉を伝えるのもマナー。
相手の状況を尊重しながら「返した方が良い相手かどうか」を判断するのが大切です。
寒中見舞いの返事マナーと注意点
寒中見舞いをもらったあとに一番悩むのが「返事は出した方がいいのか、いつ出すのか」という点です。間違ったタイミングで出してしまうと、思わぬ失礼になることもあります。
ここでは、正しいマナーと注意したいポイントを整理しておきましょう。
返事を出すタイミングはいつまで?
寒中見舞いへの返信は、できるだけ早めに出すのが理想です。
目安としては、はがきが届いてから1週間以内、遅くとも立春(2月4日ごろ)までには投函しましょう。寒中見舞いの期間を過ぎると「余寒見舞い」となるため、時期がずれないよう注意が必要です。
また、相手がビジネス関係者の場合は、早めの対応が印象を左右するため、届いた週のうちに出すのが望ましいです。
喪中・年賀状を出していない場合の対応
喪中の場合、寒中見舞いの返信ではお祝いの言葉を避け、控えめな表現を心がけましょう。
「ご丁寧なお心遣いをいただき、ありがとうございます」「寒さ厳しい折、どうぞご自愛ください」など、やさしいトーンで感謝とお見舞いの気持ちを伝えると上品です。
年賀状を出せなかった相手から寒中見舞いをもらった場合は、お詫びとお礼を添えて返すと好印象。「年始のご挨拶が遅れましたが」「ご丁寧なお葉書をいただき、ありがとうございました」といった一文を添えると丁寧です。
ビジネス相手や目上の人への返信マナー
職場の上司や取引先から寒中見舞いをもらった場合は、ビジネス文書としての礼儀を意識することが大切です。
まずは「いただいたことへのお礼」を最初に書き、続けて「相手の健康を気づかう言葉」「今後の関係を大切にする一文」で締めましょう。
文末は「今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします」「本年も変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます」などの定型表現でまとめると安心です。
寒中見舞いの返事の書き方と例文集
寒中見舞いの返事は、形式にとらわれすぎず、相手への思いやりを伝えることが何より大切です。ただし、文面の流れや言葉遣いを押さえておくと、誰にでも失礼のない一枚に仕上がります。
ここでは、基本構成と、親しい人・ビジネス相手向けの例文を紹介します。
基本構成と文面の書き方
寒中見舞いの文面は、「季節のあいさつ → 相手への感謝や近況 → 結びの言葉」という3つのパートで構成すると自然です。まず「寒中お見舞い申し上げます」で始め、季節を表すひとことを添えましょう。
次に「お元気でお過ごしのことと存じます」など相手を気づかう言葉を入れ、最後に「まだ寒さが続きますので、どうぞご自愛くださいませ」と締めると、やわらかく上品な印象になります。
特に返事の場合は、「ご丁寧なお葉書をありがとうございました」など、お礼を加えるのがポイントです。
親しい友人・知人への例文
寒中お見舞い申し上げます。
ご丁寧なお葉書をありがとうございました。寒い日が続いていますが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。こちらは変わらず元気に過ごしています。まだしばらく寒さが続きますが、体調に気をつけてお過ごしください。
親しい間柄では、あまり堅苦しくせず、自分の言葉で近況を添えると温かみが出ます。
たとえば「最近は○○に行きました」「お子さんはお元気ですか?」など、一言のやり取りがあると印象がぐっと良くなります。
取引先・上司などフォーマルな例文
寒中お見舞い申し上げます。
ご丁寧なお葉書をいただき、誠にありがとうございました。厳寒の折、貴社の皆さまにおかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。本年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
ビジネス向けの文面では、個人的な話題を避け、丁寧な敬語と定型表現でまとめるのが基本です。また、句読点を最小限に抑えると、格式のある印象になります。
文面を短くまとめつつも、相手への敬意が伝わるよう意識しましょう。
寒中見舞いの返信に使えるはがき・文例テンプレート
寒中見舞いの返事を書くとき、「どんなはがきを使えばいい?」「自分で作ってもいいの?」と悩む方も多いでしょう。
実は、使うはがきやデザインにもマナーがあります。ここでは、見た目から印象の良い返信に仕上げるためのポイントを紹介します。
市販はがきと自作デザイン、どちらがいい?
文具店などで販売されている寒中見舞い用はがきは、シンプルで落ち着いたデザインが多く、どんな相手にも使いやすいのが魅力です。
特に、淡い色合いの背景に梅や雪のモチーフが入ったものは上品でおすすめです。一方、自作デザインも問題ありません。写真入りや手書き風のデザインは親しい人への返信にぴったりです。
ただし、喪中の相手やビジネス関係者には華やかすぎない落ち着いたものを選びましょう。
書き方を間違えないためのチェックリスト
- 「拝啓」「敬具」は不要(寒中見舞いはあいさつ状なので、時候の挨拶で始めるのが一般的)
- 宛名や差出人は楷書で丁寧に書く
- 黒か青のペンを使用し、ボールペンよりも万年筆・筆ペンが好印象
- 宛名面と文面をバランスよく配置する(余白を残すと美しく見える)
- 句読点の使いすぎに注意し、流れるような文調を意識する
これらを意識するだけで、読みやすく上品な仕上がりになります。特にビジネス相手には、印刷よりも一言手書きを添えることで、誠実な印象を与えることができます。
手書き・印刷・LINE返信の使い分け方
近年では、寒中見舞いの代わりにメールやLINEでお礼を伝える人も増えています。親しい友人や家族なら、メッセージで感謝を伝えても問題ありません。
その場合も、「寒中お見舞い申し上げます」という季節のあいさつを忘れずに入れましょう。ただし、目上の方やビジネス関係者への返信は、はがきで出すのがマナー。
どうしても時間がない場合は、先にメールでお礼を伝え、後日改めてはがきを送るとより丁寧です。
寒中見舞いでも失礼にならない気遣いポイント
寒中見舞いの返事は、形式を守ることも大切ですが、それ以上に「相手の気持ちに寄り添うひとこと」が印象を左右します。
ここでは、ほんの少しの気遣いで、より丁寧で温かい印象を与えるコツを紹介します。
相手の状況に合わせた言葉選び
寒中見舞いは、相手の立場によって言葉のトーンを変えることがマナーです。たとえば、喪中の相手には「お悔やみ」や「励まし」を控えめに添えるのが基本です。
「寒さ厳しき折、ご自愛くださいませ」といった落ち着いた言葉が適しています。
一方、元気な友人や同僚なら「お体に気をつけてお過ごしください」「お互いに健康で冬を乗り切りましょう」といった前向きなメッセージで明るく締めると、心温まる印象になります。
忙しいときでも丁寧に見える一言
「時間がないけれど、失礼にならないように返したい」ときは、短い文でも誠意を伝える工夫をしましょう。
たとえば「ご丁寧なお葉書をいただき、ありがとうございました。寒さ厳しい折、どうぞご自愛くださいませ。」という一文だけでも十分丁寧です。
長文を書くことよりも、字を丁寧に、余白を美しく使うことで印象はぐっと良くなります。
返信しそびれたときのフォロー方法
うっかり返事を出しそびれてしまった場合でも、気づいた時点で出すのがマナー違反にはなりません。時期が立春を過ぎてしまった場合は「余寒見舞い」として出すと自然です。
その際は、「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません」という一言を添えれば問題ありません。たとえ遅れても、何も返さないよりずっと好印象です。大切なのは、相手の思いやりに対して誠実に応える姿勢です。
まとめ
寒中見舞いをもらったときは、まず「誰から」「どんな内容で」届いたのかを確認し、状況に応じて丁寧に対応することが大切です。
返信のタイミングは立春までが目安で、相手が喪中の場合やビジネス関係者には、控えめで上品な表現を心がけましょう。はがきのデザインや文面の言葉選びに迷ったら、シンプルで落ち着いたものを選ぶと失敗しません。
返事を出しそびれても、遅れて「余寒見舞い」として出せば十分誠意は伝わります。形式よりも「相手を思う気持ち」を大切にすることが、寒中見舞いのマナーの基本です。

